3月9日、プラネタリウムクリエイターの大平貴之さんが大手町の日経カンファレンスルームで講演される。
主催する「維新ぶっちゃけ会」はいろんな大学の大学生有志が「出会い」をテーマに活動している会で、出会いたって合コンを企画しているわけじゃなくて、社会で活躍するクリエイターと、これから外に出る大学生たちの出会いを基本理念に活動している。その活動はもう学生とはいえないくらいに活発。すごい。自分たちの方向性を固めて、それを自分たちの自己満足じゃなく、外と結びつけて成立させている。
立教大学のめぐみちゃんがここに所属しているので、この講演に誘ってくれたのだ。
後、80人ほど枠がありますので、宇宙のこと、プラネタリウムのこと、一人でそれをつくりはじめて、ついにはギネス記録を打ち立てた大平さんに興味のある方は、ぜひ、どうぞ。
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世界一のプラネタリウムをつくる大平さんの話、なかなか聴く機会ないから、今からとても楽しみです。
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そういえば星には思い出がある。
といってもニセモノの星。
上の娘が四才、真ん中の娘が三才の頃に住んでいた家は海が近く、家の前には広々とした公園があった。
公園は、広いわりにいつも子供の姿がなかった。
公園を囲む住宅の子供たちはとっくに成人しており、さりとて結婚して子供を持つでもない時期が長く続いていたようで、雨風にさらされてすっかりペンキの剥げた遊具などが、乗ってくれる子供らを静かに待っていた。
それまで住んでいたアパートの二階を離れてその家に引っ越したのは、真ん中の娘のアトピーによる夜泣きがひどく(何しろ夜の9時から明け方まで切れ目なくずっと、全力で泣いているのだ)、後から入ってきた下の階の人からの抗議にも(一階の天井を物干し竿で突く)疲れ果て、とにかく娘が泣いても誰にも迷惑かけないところに住みたかったからだ。
さんざん探して見つけたその家は、道路を挟んだ向かいが広い公園、左隣は靴をつくる工房で夜は人がおらず、右隣の家は耳が遠くなった老夫婦、裏は成人した娘さんを持つご家族という立地で、夜泣きはともかく周りへの気兼ねがなくなって、安心して夜を越えることができるようになった。
夜泣きの困るのは、何をやっても泣き止まない、というところにある。夜泣きに効く薬はないのだ。
おんぶしてもだっこしてもお乳をあげてもお風呂にいれても、泣き止まないものは泣き止まない。それらが足りなくて泣いているわけではないから。
ひとつだけ効果があったのは、車に乗せてのドライブで、振動と、景色が変わることによる母親の落ち着きが伝わるせいか、むずかりながらも一時間半くらいで泣き止むが(これを夜泣きドライブという)、この技を発見したのは車の免許をとった後、末の娘の夜泣きのときで、真ん中の娘のときには、ただひたすら薬を塗ったり、軽く爪をあてて叩いたり、冷水を浸したタオルをあてたりして、明け方になるのを待つしかなかった。
明け方になれば泣き疲れて眠るのだが、一時間もすると今度は上の娘が起きてきて、あさごはん!となる。朝ごはんをつくれば、晴れているのに洗濯しないわけにはいかず、洗濯が終れば、上の娘を遊ばせるために公園に行かなくてはならない。寝不足は一日二日のものではなく三年も四年も続いているもので、体のふらふらと思考の鈍さは、当たり前の日常のことだった。
なべさんは仕事で夜は家にいなかったので、泣き絞る娘を抱きながら、結局為すすべもなく、ひとりぼんやり天井を見ていたりした。
何年も続くこの状態を、よく知らないひとに立ち話で説明するのは大変だったので、周囲に子供のいないその町はその点においても気楽だった。
あるとき、近所にある雑貨の問屋さんのバーゲンで、たくさんの雑貨の山に埋もれて、蛍光塗料を塗ったプラスチックの星が売られていた。
大小取り混ぜて10個ほどの星。裏に両面テープが貼ってあり、壁や天井につけることができる。
子供だまし、と思いながらも、毎晩見上げる天井に飾ろうかと、一袋買ってみた。光る星に驚いて、もしかしたら泣き止むかもしれない。
家に戻ってさっそく寝室の天井に貼ってみると、10個くらいじゃとても星空とはいえない。慌ててバーゲン会場に戻って、残っていた星の袋を二つ買った。
合計30個の星を天井に貼り終わる頃には首が痛くなっていたが、この子供っぽい思いつきがすっかり面白くなっていた。
その夜、やっぱり娘の夜泣きは止まらなかった。それでも上を見上げれば、自分が苦労して張ったプラスチックの星々が暗闇のなか光っていた。
星の光は、ぼんやりとしたチープで頼りないものだったけれど、そのときの私にはそれ位で充分だった。
充分なぐさめられた。
いま、娘たちはすっかり大きくなって夜はぐっすり眠っている。小学生の末っ子は震度4の地震でも起きないし、中二の娘も中一の娘も自分の部屋にベットがあるにも関わらず相変わらず一緒にくっついてもつれて眠っていて、目覚まし三個かけたって起きやしない。
大きくなった娘たちに、近頃は叱られるようにもなった。
「お母さんは大雑把!」というが、なぜお母さんが大雑把か、言ったところで分からないだろうから言わない。
大平さんの話を聴いたら、春休みに皆で大平さんのつくったプラネタリウムに行ってみようかと思っている。